不適王の再建記

私も世の中も、より良くなりますように

冬場になると思い出す

もうかなり前になる。

私が二十歳を少し過ぎた頃の寒い冬だった。

 

当時は田舎に住んでいて、その日は町の方に所用で出かけた。

 

当時 参加していた青年グループの集まりがあって、そこに顔を出したのだった。

とは言っても、飲み会みたいなもの。

私は自分の適量を分かっておらず、気持ち悪くなるほどに飲んでしまった。

 

帰りの電車も終電間近。

田舎の路線だったこともあり、車内はガラガラ。

外の景色は明かりもほとんどないような田舎。

 

ずいぶんと気持ちが悪く、クラクラして、嘔吐寸前のような状態であった。

 

シートに座ればよいものを、なぜか扉の所の手すりに寄りかかって立っていた。

 

私の状態は、だんだんヒドくなり、

 

何度も頭を、もたれかかっている扉にぶつけていたのを覚えている。

 

いよいよ意識が朦朧としてきて、

 

あー…もーだめだ……

当時の私の人生そのものだった。

 

途中の駅に止まり、もたれかかっている電車の扉がプシューと開いた。

 

 

私は崩れ落ちた。

 

 

その瞬間だった。

 

真横のシートに座っていた人が立ち上がって、間一髪で私の体を支えてくれたのだ。

 

助かった。

助けられた。

 

もうすぐでホームのコンクリートに頭から落ちる所だった。

 

どこのどなたかも知らないが、支えてくれた人は、かすかに覚えていることは、私よりは歳上のお兄さんだった。

 

私に「座っとき…」

と言ってくれたのを覚えている。

 

私はシートに腰をかけ、

お兄さんはその駅で降りていった。

 

その時の私はフラフラで、まともにお礼を伝えることができなかったと思う。

せめて会釈ぐらいはしたのだろうか。

 

もう何年も何年も前の事。

 

真冬の夜遅く、関西の田舎の路線での出来事。

 

はてなブログを見ているかどうか分からないけれど、この場を借りて、お礼を伝えたい。

 

お兄さん、その節は体を支えてくださり、本当にありがとうございました。