私は東京で一人暮らしをしていた時がある。
あれは、もう何年も何年も前の事、19歳の真夏の事だった。
まちがいなく、あの持って帰ったお弁当だ。
うろ覚えだが、すぐには食べなかったことは覚えている。
冷蔵庫に保管したのか、していなかったのかも、今となっては分からない。
食材が痛むとか、食中毒とか、そういったことは頭に無かった。
見事に、あたった。
人生で初めてだった。
メチャクチャ下した。
死ぬかと思うぐらい、とんでもないことになった。
しばらくのたうち回ったように記憶している。
悶絶した。
どれぐらい時が経過したのだろう。
ついに、冷や汗と朦朧とする意識の中でアパートの2階の部屋を飛び出して階段をおりた。
向かった先は、私が住んでいるアパートの隣にある一軒家だ。
日頃、私の部屋の窓越しから、中学生か高校生ぐらいの子どもたちや、母親の声が聞こえていた。
アットホームな雰囲気が伝わってきていた事で、何らかの助けを求めることができるだろう、と思ったのだ。
私は滅多に人に助けを求める事は無い人間だったが、この時は一目散に頼った。
駆け込んだお隣の家の奥様は思ったとおりのアットホームな雰囲気の人で、なんとか事情を説明すると、とても快く対応して下さった。
奥様は急いで奥の部屋から転がるように救急箱を持ってきて下さった。
救急箱を床に落としてしまうほどに、急いで対応して下さった。
そして、正露丸を瓶ごと持たせて下さった。
医学的には救急車を呼んだ方が正解だったのかもしれないが、そういう発想もなかった。
その後、私はありがたいことに快方に向かって、後日 お薬の瓶を返しに行ったと思う。
当時、初めてのアルバイトをしていた。
冷たい人間関係で大きなストレスを抱え、人間不信に陥っていたこともあり、見ず知らずの土地で、余計に他人の優しさに救われた出来事だった。
あの時の奥様がはてなブログを見ているかどうか分からないが、あらためて、この場をお借りしてお礼を伝えたい。
もう何年も何年も何年も前のこと。
19歳の夏の日。
東京の豊島区東池袋での事。
食中毒にあたり、突然駆け込んだ一人暮らしの私に、お薬を持たせて下さった一軒家の奥様。
私が、あの時お世話になった者です。
その節は親切に対応していただき救われました。
本当にありがとうございました。