不適王の再建記                  

©️2018-2024 不適王 (id:nekozebito)                                         

世の中には知らないこともあるものだ。

 

小学生の時、あれは、S山君の自宅に泊まりに行かせてもらった時のことだった。

 

カレーを食べさせてもらった。

 

S山君宅では、カレーに生卵を入れて食べていたのだ。 

 

生卵?!

 

私の家庭でもカレーは頻繁に食べていたが、生卵を入れるという食文化は無かったので、かなりのカルチャーショックであった。

 

とても進んでいるというか、シャレたことをするんだな、自分は何も知らない…と思った記憶がある。

 

そして、同じく小学生時代。

同級生の誰かが、鮭のこと「シャケ」と呼んでいたこと。

 

シャケ?   

「シャ」ケ?

しゃけ…シャケ…

 

私は一度も聞いたことがなかった。

 

なんだその、こなれた呼び方は?

 

甘ったれてそうな、ちょっと生意気な、それでいて少し分かってるその感じ。

 

しかも旨そうに聞こえる。

 

これも食文化におけるカルチャーショックであった。

 

ちなみに、私は今でも「サケ」である。

ただ単に「シャケ」という響きが気持ち悪くて、そんな風に呼べない。

※シャケ文化圏の方々、ごめんなさい(>_<)

 

私は小学生の頃、体も細く、食が細い方だった。

 

うちの家族が、カレー生卵のS山君の家族と外食に行った時のこと。

 

子どもの私たちはチャンポンを食べた。

 

同級生のS山君は、どちらかと言うと体も大きい方で、チャンポンを早く食べ終えた。

S山君の食べっぷりを、S山君の母親が少し自慢気に伝えてくるのだ。

 

それ以来、今でもスーパーでチャンポンの商品を見るたびに、何十年も前の、その時の悔しさを思い出す。

 

そして、食も太くなった現在、まれにチャンポンを自宅で作って食べる時は、しっかりガッツいて、いまだにその時の悔しさを乗り越えようとしている自分がいる。

 

カレーに生卵、シャケ、チャンポン。

 

私は、こういう小さな劣等感を勝手に積み重ねて、自信や自己肯定感を無くしてきていたのであった。

 

【小学生の自分へ】

 

生卵をカレーに入れなくてもいい。

入れたところでスゴくもなんともない。

 

お前にとって鮭は「サケ」だ。

「シャケ」と呼んだところで偉くもなんともない。

 

チャンポンを早く食えたからって何になる?

お前のペースで食って消化すればいい。

 

不適王