ネットニュースで、「ダメ人間」という呼称を見かけた。
昔から、たまに聞くことのある言葉だ。
おそらく一般的に、怠惰、堕落している、どうしようもない人間、恥ずかしい人間、人よりも劣っている、救いようがない人間、負け犬、そのような意味合いで使われているはずだ。
この「ダメ人間」という呼称。
自らのことを慎んで使用するのなら、まだ そのうち分かるが、他者に対して使用する場合、この呼び方、私は昔から気をつけねばならないものだと思っている。
なぜかと言うと、少し考えたら分かることなのだが、メンタリティーな病気、あるいは障がいを抱えて苦悩している人もいるし、グレーゾーンの人もいる。
そういったことを起因として、社会生活に困難や厳しさが生じている場合があるからだ。
性格的な気質においても、社会生活をするにあたってとても疲れやすい人、壁にあたっている人、困難の渦中にある人、とても苦労している人が大勢いる。
そういう人たちは、一般やマジョリティからしてみれば、どうしても遅れをとったり、手のかかる部類の人たちであったり、ハンディキャップがあったり、人生を生きなおすのに時間がかかる人たちだ。
テレビ番組で、誰それのお笑い芸人が、各種エピソードを踏まえながら、あれやこれやで「ダメ人間」と、笑いのネタにされたそうだ。
当の本人は、仮にお笑い芸人であれば、笑われてなんぼなのでそれで良いのかもしれないし、広く一般からしてみれば面白い笑いの対象なのだろう。
あるいは、視聴者は、こんな人間がいるのだからと、少なからず優越感に浸れるかもしれない。
しかし、視聴している人々が、こういう人間は とにかく「ダメ人間」なんだ、と必ず知らず知らずのうちに刷り込まれてしまう。
そして、そういう人が身近にいれば、あの(この)人は「ダメ人間」だ、とレッテルを貼ってしまう。
テレビやニュースの影響はとても大きい。
「ダメ人間」という言葉、とても使いやすいし、使いたい人は使えばいいと思うが、
私は「ダメ人間」という言葉に全く笑えないし、そんな風に安易に使用することは絶対にできない。
不適王