私は独身の男性だ。
私は元来 他人を、例えば職場の人であったり知人を、自宅の部屋には絶対に招き入れない人間だった。
そこは私の交遊関係の狭さが反映されているといったわけだが、親しい知人がいたとしても、自分が安心できるテリトリーに他人を入れるなんて絶対に考えられなかった。
そこが守られなければ、メンタルがおかしくなるタイプの人間であった。
これは良い悪いではなく、私みたいな人の個性だ。
ここまでではなくとも、部屋には招き入れたくない心理を理解できる人、けっこういらっしゃるのではないかと思う。
ただ、私の場合は、他人を招き入れないことにより、独身の男性アルアルだと思うのだが、部屋の隅々が汚くなりやすかった。
よっぽど綺麗好きで、掃除に余念が無いタイプの人でなければ、いわゆる「汚部屋」になりやすい。
独身の女性であっても、勤務に忙しく余力がない人は同様のケースになるかもしれない。
例えば、女性であっても看護師さんは汚部屋になりやすい、という話、聞いたことがある人もいると思う(※)。
※看護師さんだからと言って全ての人がそうではないと思います。
私は、そのような経緯から、ベッドの下、あるいは浴室、キッチンなどが、少しずつ、そして確実に汚れてしまうことが多かった。
昔、何度目かの引っ越しの時、たまたま父母が簡単な手伝いに来てくれた時があった。
たまには来訪してくれて、ありがたかった。
さて、引っ越し前のバラされた部屋に両親を招き入れたわけだが、段ボールへの梱包やらの後の部屋は、埃がかなり残っていた。
わんさか とね。
少しだけ言い訳をすると、引っ越し後に入る清掃業者さんに任せるつもりだったので、いつも以上に床の掃除をしなかった経緯もあった。
特に父親は、その時に見た埃部屋の印象が強かったようで、後にこの事をネタにすることもあった。
ネタにされる私も悪いので仕方がない。
引っ越し前だったから、という弁明も、半分は正しく、半分は言い訳になるし、気持ちの良い会話ではないので、両親に手伝いに来てもらわなくてもよかったな、なんて気持ちになった事もある。
しかし、近年、私は極親しい人間のみ、自宅に招き入れるようになった。
そこは、私のキャパシティが増えたと言うか、それが人間力の有り無しではないけれど、そのような機会が増えた。
そのおかげで、定期的に清掃を心がけるようになり、決して完璧ではないものの、以前のような埃まみれ等の部屋ではなくなった。
そして清掃が億劫ではなくなった。
頻繁にするのは疲れるけれど。
日によって分けて清掃をしていれば問題ないわけで。
なんなら創意工夫もできたりで、時には100円均一ショップで購入した掃除アイテムを駆使して、見事に問題を改善、成功させたこともある。
私は少しずつ成長しているようだよ。
いい年して成長という言葉を使う?
いやいや、むしろ使おうか。
成長に年齢は関係ないのさ。
不適王